かつて腰痛の原因は、主に腰椎の異常にあると考えられていました。
しかし最近では、原因不明の腰痛のほとんどが、「仙骨の歪み」によって生じているのではないかと考えられるようになってきています。
仙骨とは、人間の身体のほぼ中心にあり、脊柱を支え、上半身と下半身をつなぐ重要な役割を果たす骨のことです。
この仙骨の歪みやズレが、強い痛みを引き起こしているのではないかというのです。
仙骨によって、人間は身体のバランスを保つことができ、また自由に動くことができます。
しかしなぜ仙骨が歪むのかといえば、まさに身体のバランスをとるためなのです。
つまり、ただ日常生活を送っているだけでも、仙骨は少しずつ歪んでいってしまうということです。
また仙骨は、前後のバランスが一方へ偏ることによって、歪みが生じやすい構造になっています。
前屈みで腰が痛い場合は、仙骨が正常な位置より後ろに傾いてしまった状態で、後ろに反らすと痛い場合は、前へ傾いてしまった状態であることが考えられます。
長時間座った姿勢でいる方や、猫背の方などは特に注意が必要です。
仙骨の歪みは、その上にある筋肉にストレスを与えます。
また血管や神経が多く通っている場所であるため、血行不良を起こしやすくなります。
これらが痛みを引き起こす主な原因となっています。
しかし仙骨の歪みによって生じた腰痛は、軽度ならば自力で改善できるともいわれています。
仙骨を正常な位置に戻すのに、手軽で効果的な方法が2つあります。
1つは、膝を立てて眠ることです。
膝の下に枕やクッションを入れて眠ります。
もう1つは、椅子に座る時に、背もたれとお尻の間に薄いクッションやタオルを入れることです。
あまりにも痛みがひどい場合は専門医にかかることが大切ですが、軽度の仙骨腰痛の場合はこの2つの方法での改善が期待できます。