腰痛に牽引療法は効果があるのかと聞かれれば、YesでありNoであると思います。
どちらかというと、ほぼNoであると言えます。
それは、一言で腰痛と言っても原因がいろいろあるからです。
はじめにYesと言えるものには脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどがあげられます。
背骨は脊椎と呼ばれている何個もの骨が積み重なって出来ていて、その間にはクッションとなる椎間板があります。
その椎間板がなんらかの原因で潰れたり狭くなったり、さらには脊椎の中を通る神経やそこから出た神経を圧迫することによって前述の症状が出ます。
これらは上から(頭から)の重力によってより潰れ圧迫され痛みが増悪するので、牽引療法によってその圧迫を減らすことにより痛みは軽減します。
ただし上からの重力は常に受けているものなので、牽引による効果は一時的なものとしか言えません。
次にNoと言える腰痛についてです。
まず一般的に多く代表的な筋・筋膜性腰痛などの腰の筋肉の痛み、そして腎臓やその他内臓に異変があってそこから来る関連痛と言われるものです。
これらの腰痛には牽引ではほとんど効果がないと思われます。
筋・筋膜性腰痛では牽引によって筋肉がストレッチされることによって多少はマシな気がするかもしれませんが、ほとんど効果はありません。
それどころか下手をすれば筋繊維が切れてより悪化することさえあります。
内臓からくる関連痛であれば内臓から治療をしなければ腰痛も改善することはあり得ません。
これらのことからもまずは腰が痛いからちょっと引っ張ってもらおうなどという安易な考えはせず、腰痛の原因をしっかりと知ることが大切です。
また一般にギックリ腰と言われる急性腰痛は一週間寝ていれば大半は治ると言われているように、とにかく休養を取ることが回復への近道と言えるでしょう。