腰痛は日本人の国民病といわれるほど多くの人が抱えているものです。
一方で脳梗塞も、昔から日本人の死因の上位に挙がってくる病気です。
どちらも年齢を重ねるごとに発症する可能性が高くなります。
そういったところから中高年の方としては、「どちらかが発症するともう片方も発症しやすいのでは?」と心配になることもあるかもしれません。
ですが、基本的にはそのような因果関係はありません。
腰痛の原因は腰背部の筋肉だけでなく、ヘルニアのような神経的な問題、あるいは内臓疾患など様々です。
しかし、いずれも脳梗塞の原因となる動脈硬化に直接つながるものではありません。
また、脳梗塞は脳の血管が詰まってしまう病気です。
体の半身が動かなくなる運動麻痺や感覚障害など、確かにそれ自体としては恐ろしい障害が発生し後遺症として残る場合もありますが、上に挙げたような腰痛の原因を直接引き起こすことはありません。
以上のように、どちらが発症したとしてもそれがもう片方を直接引き起こすわけではないのです。
ただし、まったく関係ないのかというと、そうとも言い切れないので注意は必要です。
一例としては、「肥満による慢性的な姿勢不良が、腰背部の筋肉に負荷をかけて腰痛を引き起こしたケース」などが挙げられるでしょう。
このような場合、腰痛自体が脳梗塞を引き起こすことはなくても、肥満の背景にある高カロリーな食事や運動不足などの生活習慣が、動脈硬化につながって脳梗塞のリスクを高めるという可能性は否定できません。
また、逆に、脳梗塞による運動麻痺で半身がうまく動かなくなった結果、歩行の際に腰背部に負担がかかり腰痛を引き起こす可能性も、まったくないとは言えないでしょう。
このようにお互いが遠因となる可能性は考えられます。
いずれにしても、私たち日本人の多くが抱えており、生活の質に大きな影響を与える障害や病気であることは間違いありません。
何か気になることがあったら、早めに医療機関を受診しましょう。